
先日、ある地域メディアの方とお話をする機会がありました。
話していてとても楽しい方で、その方は、こんなことをおっしゃいました。
「媒体を持つって強いですよ。どこでも、誰にでもコンタクトできますから。」
そのメディアは、地域のお店やイベント、人の活動などを紹介する記事が中心です。
それなのに、名前には「経済新聞」とあります。
最初は少し不思議でした。
地域の出来事を伝えるなら、「地域新聞」でもよいのではないか。
そんなことを思ったのです。
でも、考えているうちに気づきました。
「経済」とは、株価や企業の決算だけではありません。
新しいお店ができること。
地域でイベントが開催されること。
地元企業が新しい挑戦をすること。
それらもすべて、地域の経済を動かしています。
つまり、その名前は記事の内容を説明しているのではなく、
「私たちは、地域の経済活動を伝えるメディアです。」
という立場を表しているのではないでしょうか。
なるほど。
そう考えると、「研究所」「ラボ」「アトリエ」「工房」といった名前も同じです。
実際の業務内容を説明しているというより、
「私たちは、こんな考え方で価値を生み出しています。」
という姿勢や世界観を表しているように思えます。
一方で、創業したばかりの会社では、社名や商品名を考えるとき、
「〇〇製作所」「〇〇加工業」「〇〇除去剤」
というように、仕事内容や商品の機能をそのまま名前にすることがあります。
もちろん、それが悪いわけではありません。
何をしている会社なのかが伝わることは、とても大切です。
でも、その一歩先を考えてみてもいいのではないでしょうか。
私たちは、自分たちの仕事は一生懸命説明します。
でも、
「この会社は、どんな考え方で仕事をしている会社なのか。」
そこまで伝えられているでしょうか。
マーケティングとは、商品を売る技術ではありません。
「どう見られたいか」を考えることなのかもしれません。
だからこそ、社名や商品名は、機能を説明するだけではなく、
「どんな価値を届けたいのか。」
「どんな会社として覚えてもらいたいのか。」
「どんな存在として社会に貢献していきたいのか。」
そんな想いまで込めて考えてみる価値があります。
振り返ってみると、私自身も知らず知らずのうちに、そんなことをしていました。
「マーケターズラボ・マサオフィス」という名前も、Web制作会社という肩書きではなく、お客様と一緒に考え、一緒に育てる存在でありたいという想いから生まれました。
そのときは、特別にマーケティングを意識したり、フレームワークを並べたわけではありません。
でも今思えば、それも「知らずにやっていたマーケティング」。
「逆引きマーケ」だったのかもしれません。
社名も、商品名も、肩書きも。
正解は一つではありません。
でも、一つだけ言えることがあります。
名前は、過去を説明するためにつけるものではありません。
未来に向かって、「私たちは、こんな存在になりたい」と宣言するものなのだと思います。