
先日、64歳になった(笑)。
「ああ、歳をとるのは嫌だな」と、素直に思いました。
会社をつくってから、28年目。
経営者になって、私は何度も自分の弱さを知りました。
思うように仕事が取れない。
社員に思いが伝わらない。
これから会社をどうしていけばよいのか分からない。
お金のことでは、地獄のような苦しさも味わいました。
それでも一つだけ、経営者になって良かったと思うことがあります。
それは、
「自分を変えなければ、前には進めない」
ということが、身体に刻まれたことです。
私は、もともとは怠け者だったのかもしれません。
もし、小さな会社のオーナー経営者になっていなかったら、今ごろどのような自分になっていたのだろう。
そう考えると、少し怖くなります(笑)。
けれど、会社や社員、お客様や家族に背中を押され、何度も立ち上がってきました。
立派な経営者になった、という話ではありません。
つまずくたびに、
「これまでの考え方や、やり方のままでは進めない」
と気づき、少しずつ自分を変えざるを得なかったのです。
「40歳を超えると、人はなかなか変わらない」
そんな言葉を耳にすることがあります。
確かに、性格はそう簡単には変わらないのかもしれません。
せっかちな人が、急にのんびりした人になるわけではない。
人付き合いが苦手な人が、突然、誰とでも話せるようになるわけでもない。
でも、
何を大切にするのか。
物事をどう考えるのか。
どのような行動を選ぶのか。
それは、年齢にかかわらず変えられるのではないかと思います。
ただ、人が変わるには理由が必要です。
経営者には、否応なくその理由がやってきます。
自分が動かなければ、仕事が止まる。
売上がなければ、会社が続かない。
判断を先送りにすれば、社員にも、お客様にも影響が及ぶ。
経営者にとって変わることは、「より良くなるための選択」ではなく、ときに「生き残るための条件」になります。
一方、従業員は、経営者とは背負っているものも、見えている景色も違います。
どちらが偉い、という話ではありません。
日々の仕事がこれまでどおり進んでいれば、経営者と同じ切迫感を持つのは難しい。だから、経営者の危機感をそのまま社員に求めても、なかなか伝わりません。
では、会社は社員の成長のために、何ができるのでしょうか。
私は、人が人を変えることはできないと思っています。
けれど、本人が気づく機会はつくれる。
少し大きな仕事や責任を渡すこともできる。
小さな行動の変化を見つけ、認めることもできる。
昨日まで社長に確認していたことを、今日は自分で考え、判断してみる。
その小さな行動が結果につながり、
「自分にもできるかもしれない」
という気持ちを生むことがあります。
考えが変わるから、行動が変わる。
でも、それだけではありません。
行動してみたからこそ、考えが変わることもあるのです。
年齢そのものより怖いのは、
「私は、こういう人間だから」
「もう、この歳だから」
「今さら変わらないから」
と、自分自身について結論を出してしまうことかもしれません。
64歳になった私も、自分がどのような人間なのか、まだよく分かっていません。
今でも悩みます。
今でも迷います。
ときには、逃げたくなることもあります。
それでも、昨日より1mmでも前へ進みたいと思っています。
いま、苦しんでいる中小企業の経営者の方へ。
苦しんでいるのは、あなただけではありません。
今日も会社へ行き、考え、悩み、それでも仕事を続けている。
それだけでも、あなたは十分に踏ん張っています。
経営には、簡単な答えはありません。
でも、今日の1mmが、いつか振り返ったときの道になります。
私もまだ、その途中です。