
先日の土曜日、弊社のお客さまである病院へ、仕事の打ち合わせに伺いました。
電車とバスを乗り継ぎ、月に一度、多いときには二度くらい訪問しています。
もちろん、お客さまとはメールもします。電話もします。オンラインで打ち合わせをすることもあります。
それでも、なかなか話が前へ進まないことがあります。
そんなとき、会いに行く。
顔を合わせて話をすると、不思議と少しずつ話が動き始めることがあります。
正直に言えば、決して効率のいい営業ではありません。
移動時間もかかりますし、一日に会えるお客さまの数にも限りがあります。
効率だけを考えれば、もっと別の方法があるのでしょう。
それでも、会いに行きます。
今回も、病院の事務長と医師の先生が、お忙しい中、時間をつくってくださいました。
こちらから何かをご提案するだけではありません。
お話をしていると、病院が今どんなことに困っているのか、何を考えているのか、Webサイトに何を期待しているのか。
少しずつ見えてきます。
メールや電話だけでは分からないことがあります。
会って話して、初めて分かることがあります。
今回も、以前からご提案していたことについて、
「それなら、やってみようか」
という話になりました。
帰りのバスの中で、ふと思いました。
私は27年間、ずっとこんな営業をしてきたんだな、と。
創業した頃は、まだお客さまも少なかったので、ほとんどのお客さまのところへ自分で伺うことができました。
できることなら、今でもすべてのお客さま、すべての担当者に会いに行きたいと思っています。
でも、お客さまが増え、仕事が増えていくと、それは不可能に近くなりました。
それでも、会えるお客さまには会いに行く。
格好いい営業ではありません。
暑い日も、寒い日も、電車やバス、時にはレンタカーでお客さまのところへ行く。
汗をかいて、歳なので足や膝を痛くして(笑)、何の成果もなく帰ってくる日もあります。
ずいぶん泥臭いことをやってきたなと思います。
「コツコツ」という言葉があります。
コツコツの「コ」だけでもダメですし、「ツ」だけでもダメです(笑)。
続けて、初めてコツコツになる。
結局、私はそんな営業を27年間続けてきました。
今回お会いした病院の事務長とは、2001年からのお付き合いです。
最初にお会いした病院から、その後、別の病院へ移られ、さらに現在の病院へ。
事務長が新しい病院へ移られるたびに、Webサイトのことで相談をしていただきました。
気がつけば、三つの病院で仕事をご一緒してきました。
25年です。
こうした長期的な関係や信頼を大切にする考え方を、「リレーションシップ・マーケティング」と呼ぶそうです。
一度売って終わりではなく、お客さまとの長期的な関係を大切にしていく。
なんだ。
私だけではなく、みなさんも知らず知らずのうちにやっているのかもしれません。
まさに「逆引きマーケ」です(笑)。
ただ、お客さまに会いに行くだけでは、ダメなのだと思います。
私は、お客さまのところで聞いたことを、なるべく社内で共有するようにしています。
何を考えていたのか。
どんなことに困っていたのか。
どの話に興味を持ってくださったのか。
時には、会議室の空気や、ちょっとした言葉のニュアンスも伝えます。
私がお客さまから持ち帰るのは、仕事だけではありません。
お客さまの「温度」を持ち帰ります。
一方、制作を担当する社員には、日々の仕事の進捗や、制作の現場でしか分からない「状況」があります。
私が持ち帰った「温度」と、社員が持っている「状況」。
それが社内で行ったり来たりする。
それもまた、私たちなりの「コツコツ」なのかもしれません。
弊社は創業以来、お客さまと直接お取引する「直請け」を続けてきました。
直請けとは、単に間に代理店が入っていない、という意味ではないと思っています。
お客さまの声を直接聞く。
困っている顔を見る。
「実はね……」という、メールには書かれない話を聞く。
そして、それを会社へ持ち帰る。
それが、私たちがずっと大切にしてきた仕事の仕方です。
だから本当は、
「私がお客さまに会いに行く」
ではないのかもしれません。
会社がお客さまに会いに行く。
そういう会社でありたいと思っています。
最近、歳のせいか、過去を振り返ることが増えました(笑)。
会社を経営している以上、売上も利益も大切です。
それがなければ、会社を続けることも、社員の雇用を守ることもできません。
でも、少し不思議なことがあります。
売上は数字になります。
入ってきたお金も、給料や仕入れ、家賃や税金になって、やがてどこかへ流れていきます。
ところが、人との出会いは、なぜか流れていきません。
一緒に仕事をしたこと。
会議室で何時間も話したこと。
うまくいかず、一緒に困ったこと。
喜んでいただいたこと。
時には、叱られたこと。
そんなことが、ずっと残っています。
「残っている」というより、
自分の中に刻まれている。
そんな感じがします。
AIも使います。
オンラインも使います。
便利なものは、これからもどんどん使っていきたいと思っています。
それでも、会えるお客さまには、会いに行きたい。
27年間続けてきたからといって、これが正しい営業なのかは、今でもよく分かりません。
そして、私一人の営業で終わらせず、お客さまのことを会社全体で見て、寄り添える会社にしたい。
まだまだ、できていないことばかりです。
だから、もう少し続けてみます。
コツコツ。
「コ」だけでも、「ツ」だけでもダメですから(笑)。
明日もまた、お客さまに会いに行きます。